為替の主役は米ドル
為替の中心が米ドル(USD)であるということを確認するためのデータをご紹介します。国際決済銀行(BIS)が3年に一度発表するデータ(Foreign exchange turnover )です。
最新版は少し古いですが2016年のもので、日々の為替の取引量を通貨別にしたものが下表になります。元データではもっとマイナーなデータもたくさん並んでいますので、気になる通貨ペアがある場合は、元のファイルを見てみてください。クロス円のマイナーな通貨も取引量が載っていておもしろいですよ。
<通貨ペア別の日次平均取引量(単位:10億米ドル)>
Currency pair | 2010 | 2013 | 2016 | |||
---|---|---|---|---|---|---|
Amount | % | Amount | % | Amount | % | |
USD / EUR | 1,099 | 27.7 | 1,292 | 24.1 | 1,172 | 23.1 |
USD / JPY | 567 | 14.3 | 980 | 18.3 | 901 | 17.8 |
USD / GBP | 360 | 9.1 | 473 | 8.8 | 470 | 9.3 |
USD / AUD | 248 | 6.3 | 364 | 6.8 | 262 | 5.2 |
USD / CAD | 182 | 4.6 | 200 | 3.7 | 218 | 4.3 |
USD / CNY | 31 | 0.8 | 113 | 2.1 | 192 | 3.8 |
USD / CHF | 166 | 4.2 | 184 | 3.4 | 180 | 3.6 |
Others | 1,320 | 33 | 1,935 | 32.8 | 1,852 | 32.9 |
All currency pairs | 3,973 | 100 | 5,357 | 100 | 5,067 | 100 |
通貨全体の取引量はなんと5兆ドル。1ドル110円換算で550兆円も毎日取引されています。
ただ、2013年に5.3兆ドルあった取引量が2016年に減ってますね。発表されるたびに増加する全体の取引量に驚いていましたが、さすがにこのあたりがピークなんでしょうか。
15年前の2001年のデータでは全体の取引量が1.2兆ドルでしたので、15年で4倍の取引量になっているとのことで、金融市場全体の発達とともに取引量が伸びてきていました。
依然は為替の代表と言えば圧倒的にユーロドルと考えられてきましたが、ユーロドルの取引が占める割合は徐々に低下してきています(2001年に30%あったものが、2016年には23%まで低下)。人民元などのこれまで取引量が乏しかった通貨の取引量が著しく増加したことが原因だと思いますが、欧州債務危機の影響もあるのかもしれません。
<通貨別の日次平均取引シェア(%)>
Currency | 2001 | 2004 | 2007 | 2010 | 2013 | 2016 |
---|---|---|---|---|---|---|
Share | Share | Share | Share | Share | Share | |
USD | 89.9 | 88.0 | 85.6 | 84.9 | 87.0 | 87.6 |
EUR | 37.9 | 37.4 | 37.0 | 39.0 | 33.4 | 31.4 |
JPY | 23.5 | 20.8 | 17.2 | 19.0 | 23.0 | 21.6 |
GBP | 13.0 | 16.5 | 14.9 | 12.9 | 11.8 | 12.8 |
AUD | 4.3 | 6.0 | 6.6 | 7.6 | 8.6 | 6.9 |
CAD | 4.5 | 4.2 | 4.3 | 5.3 | 4.6 | 5.1 |
CHF | 6.0 | 6.0 | 6.8 | 6.3 | 5.2 | 4.8 |
CNY | 0.0 | 0.1 | 0.5 | 0.9 | 2.2 | 4.0 |
異なる観点で通貨別のシェアを見てみると、USDの比率は2001年の89.9%から87.6%までしか低下しておらず、やはり圧倒的にUSDが為替の中心であることがわかります(このデータの全通貨の合計は200%になります)。人民元の伸びはすごいですね(データの取り方の変更もあったようで一概には言えませんが)。一方ユーロは減少が激しいですね・・・
やはり為替市場の中心は圧倒的にドル中心というのは変化していないことがわかります。ドルが中心なんて、言うまでもなく当たり前のことなんですが、それを確認するデータはなかなかないので、このBISのデータは重宝します。次回発表されるのは2019年になりますが、取引総量の変化と人民元の伸びが楽しみです。