カナダ中銀利上げ(1.25%→1.50%)ー2018年7月
カナダ中銀は予想通り利上げ(1.25%→1.50%)
7月11日のカナダ中銀(BoC)は、市場予想通りの利上げ実施となりました。
事前の予想は圧倒的に利上げに偏っていましたので、利上げ自体にはサプライズはありませんでしたが、今後の利上げ余地が残ったことはややタカ派な結果となりました。
事前の予想では、今回の利上げを最後に打ち止めを示唆するとの観測もありましたので、引き続き利上げを進める可能性を残したことが若干のサプライズとなりました。
経済に関しては、キャパシティに近い状態を維持しているとの評価を維持しています。
見通しに関しても、引き続き安定した見通しを維持しました。2018-20年は2%成長との見通しです。
家計消費は金利の上昇とタイト化した貸し出し基準によって圧迫されているものの、最近のデータは2018年初の落ち込みから住宅市場が安定化し始めていることを示唆しているとの認識を示しています。
企業投資は、堅調な需要と限界に近い成長に牽引されて成長を続けているものの、関税の問題が重石になっています。
CPIについては、短期的に2.5%を超える水準まで上昇することを見通しつつも、2019年後半までには2%付近に戻るとの見通しです。
賃金成長率の評価については、基調的な賃金成長率については2.3%との見通しを示していますが、労働市場にたるみが無い場合よりも低い数値であるとの見方を示しています。
カナダドルへの影響と今後の見通しについて
利上げを発表した直後のカナダドルは、1.3130-40から1.3080程度へとカナダドル高となりました。
しかし、全体的な米ドル高に押されてすぐに1.32台へと反落するなど、今回の結果は、スタンスを維持するだけのものであったことから大きな影響を与えるものではありませんでした。
今後については、米国の利上げと関税の動向、カナダ経済への利上げの影響を適時評価しながら進めていくことになろうと思われますが、基本的には米国に追随して利上げしていくことになり、あと数回の利上げのいずれかのタイミングで打ち止めを示唆することになろうと考えています。
カナダの経済環境は足元好調なものの、米中の貿易摩擦の深刻化によって世界的な景気減速につながることが懸念され、それが米国やカナダの利上げペースを鈍化させることになるだろうと思います。
米国への影響が警備にとどまることを見越して米株市場は安定を維持しているものの、関税による影響は徐々に顕在化してくるはずです。
そのときに、労働市場やCPIに鈍化の陰りが見られるカナダについても、利上げが一旦打ち止めとなり、7月13日現在のカナダ10年国債2.13%程度までしか短期金利も上昇し得ない結果になると考えています。
BOSやローン調査からは労働市場の逼迫による影響が強く出ていて堅調に見えていますが、外部要因によって利上げが阻害されてしまうでしょう。
カナダドルについては、米国の関税の影響などによる製造業の鈍化などをきっかけに米国の利上げペースに懸念が示されることで、これまでの米ドル高が修正されてカナダドル高にむかうことになると考えていますが、現在の新興国の問題が注目される環境では米ドル高の流れは止まりそうにありませんので、短期的にカナダドル高ということもないだろうと思います。