カナダ利上げ(1.50%→1.75%)、声明文はタカ派で、次は来年1月
カナダ中銀は予想通り利上げ(1.50%→1.75%)
10月24日のカナダ中銀(BoC)は、7月の利上げに続いて、市場予想通りの利上げとなりました。
利上げ自体は完全に想定どおりでしたが、gradual approach(漸進的なアプローチ)という文言が削除され、政策金利を中立スタンスに引き上げる必要があるとの認識を示しました。
カナダ中銀が想定している金利の中立水準は2.5-3.5%の間にあり、中立スタンスに引き上げられるということは少なくともあと3回の利上げが想定されていると捉えられたことから、タカ派な印象を市場に与える結果になりました。
利上げペースの見通しが不透明な中で、利上げのペースが加速、もしくは最終到達点が上振れするかもしれない、という思惑を高めることになりました。
これを受けて、2018年12月の最後のBoCでの利上げ期待も幾分高まりました。
市場のコンセンサスは依然として来年1月の利上げで、米国の12月のFOMCの結果を見てからの判断になるだろうと考えていることから、私も同様に来年1月の利上げを想定しています。
来年1月の利上げは市場でほぼ織り込まれています。
市場の反応
BoCの声明文のタカ派化を受けて、カナダドルは発表後に対ドルで1.3080-90あたりから1.30程度まで急上昇、債券利回りは短期が上昇、長期以降が低下して、顕著にフラットニングしました。
追加利上げの織り込みが進み、今年12月の早期追加利上げの可能性も僅かに高まりました。
今回の発表によって、市場は改めてBoCの利上げに対する強い意志を確認することとなりました。
そんなに利上げできるのか
来年1月に追加利上げして、2.5%まで上げることを考えると、さらに2019年中に2回、計3回の利上げを少なくとも実施することになりますが、はたしてそこまで上げられるのか。非常に疑問です。
2019年末までにあと4回の利上げが見込まれていた米国でも、昨今の株式市場の急落で10月24日時点の追加利上げの織り込みが2019年末までに2回未満となってしまいました。
米国ですらあと2回の利上げが怪しくなってきている状況で、カナダがあと3回の利上げというのは、やや無理がある想定ではないかと思います。
米中の関税による応酬の結果が経済に波及してくることで、徐々にカナダの利上げ期待は剥落していくのではないかと考えていて、来年1月の利上げはあるにしても、2019年にあと1回というところではないかと思います。
カナダの10年国債利回りは10月24日時点で2.44%、2年国債は2.31%となっています。タカ派なBoC結果でしたが、10月24日のカナダの長期債、超長期債は米国の株安・利回り急低下を受けて利回りが低下しました。
米国のハイテク株の状況が怪しくなってきましたので、まずは10月下旬の混乱が沈静化するかどうかが最重要ポイントです(長い長い上昇局面の終わりでないかどうかを確認する必要があります)。
その後、米国の11月6日の中間選挙がどういった結果になるか、といったところに注目していけば、来年1月の利上げの確度を確認できようかと思います。