カナダ中銀は見通し下方修正で金利据え置き
カナダ中銀は2019年の成長率見通しを0.4%引き下げ
カナダ中銀は1月も据え置きでした。1月9日の決定会合で1.75%の据え置きを決定しました。
2~3ケ月前まではこの1月に利上げと考えられてきましたが、12月の市場の混乱を受けて据え置きとなりました。
世界経済の見通しに対して、米中貿易摩擦の影響でスローダウンを予想し始めています。
2018年10月時点から原油価格が25%も下落しており(米国の供給増、世界の需要減により)、原油価格の急落がカナダ経済に与える影響がカナダ中銀の懸念を深める要因になっています。
ただ、40年ぶりの低水準にある失業率が示すように、オイル関連以外のセクターは堅調で、中銀も自信を示しています。
その他に懸念を示している点として、個人消費と住宅投資が挙げられています。住宅ローン規制の強化と金利の引き上げによる影響で事前の予想よりも減速しているとみているようで、この部分の進展は慎重に見ていくことになりそうです。
結果として成長率の見通しが2018年10月時点から0.4%引き下げられ、2019年は1.7%となりました。主に足元の2018年第4四半期、2019年第1四半期に対する下方修正が影響しているようで(今回の下方修正で、利上げを見送る余地が生じています)、年後半、2020年には潜在成長率並みと予想しています。
コアインフレは大きく水準を変えていませんが、全体のインフレ率はガソリン価格の下落の影響で2%を下回っています。2019年のほとんどの期間で2%を下回るインフレにとどまると考えられています。一方で、カナダドル安がインフレ上昇圧力となることもあり、2019年後半には2%に戻していくという無難な見通しのようです。
今後の利上げは、引き続き中立水準への利上げをターゲットにしていますが、原油市場や米中貿易摩擦、カナダ経済の状況を見ながら、というスタンスです。
2019年は利上げが1回あるかどうか
原油市場や株式市場の状況を考慮すると、カナダをはじめ世界の中銀で金融引き締めの動きが鈍化する、もしくは完全に止まる可能性が出てきていると考えています。
米国は米中貿易摩擦による減速がどの程度になるか見極める必要があります。また、それによる世界経済へのインパクトは非常に不透明で、中銀としては影響が明らかになるまで非常に動きにくいでしょう。
カナダ経済の成長率とインフレの見通しが引き下げられたことからすると、カナダ中銀にはかなりの長期間様子見する時間があります。雇用環境は良好ですが、賃金の上昇率が高まってきている状況ではありません。また、原油価格の急落でオイルセクターに深刻な影響があることを考えると、急いで利上げをする理由は全く見当たらないと言えます。
カナダ中銀は、年後半に1回利上げするチャンスがあるかどうか、このまま年内据え置きという可能性もあります。