カナダ中銀の利上げ観測を高めた2月のCPI
カナダの2月のCPIは1月から伸びが加速
3月23日にカナダの2018年2月のCPI(消費者物価指数)が発表されました。
前年比の伸びは2.2%となり、1月の1.7%から加速、市場予想も上回りました。
カナダ中銀が参照する3つのコア指数も以下のとおり前年比の伸びが1月から加速しました。
CPI Common +1.9% 1月+1.8%
CPI Trim +2.1% 1月+1.8%
CPI Median +2.1% 1月+1.9%
同日に発表されたカナダの1月の小売売上高も、概ね市場予想通り堅調な数字でした。
カナダ中銀の利上げ観測が高まった
1月はカナダ中銀が設定しているインフレターゲットの2%を下回っていたものの、2月には3つのコア指数のうち2つが2%を上回りました。
これらの好調な経済指標を受けて、カナダ国債は短期債を中心に利回りが上昇、7月までの25bpの利上げが既に織り込まれているようで、4月のMonetary Policy Report(四半期ごとに発表される金融政策報告書)とともに利上げを実施するとの見方も一部にあるようです。
4月の金融政策決定会合・金融政策報告書の発表は18日に行われ、その前の4月9日にはカナダ中銀から「Business Outlook Survey and Senior Loan Officer Survey」が発表されます。
最近カナダ中銀が懸念しているNAFTAの再交渉については、先週ポジティブな情報もありましたので、交渉の進展次第では利上げの障害とはならない可能性もあります。
ロイター:U.S. drops auto-content proposal in NAFTA talks: The Globe and Mail
The U.S. government has dropped a demand that all vehicles made in Canada and Mexico for export to the United States contain at least 50 percent U.S. content
最近のカナダドルの推移
3月中旬には一時対ドルで1.31台まで下落していましたが、3月26日時点では1.29前後までカナダドルが回復しています。
カナダの要因というよりは、3月20-21日のFOMCで懸念されていたほどタカ派とはならなかったことで全体としてドル安になっていることや、原油価格が高水準で推移していることなどがサポートしているのではないかと考えています。
カナダの物価上昇圧力は緊急に対応しなければならないほどの状況ではないと思いますので、カナダ中銀が早期の追加利上げに踏み切れるかどうかは、米中の貿易戦争への懸念で下落している株式市場が落ち着くかどうかや、NAFTAの再交渉がどのように進展するかにかかっています。