カナダCPI概ね予想どおり、利上げ加速は無理
カナダの10月のCPIは予想を上回るも、コアは2%付近で安定
11月23日に発表されたカナダの10月のCPIは、前年比2.4%の伸びとなり、9月の2.2%から若干伸びが加速しました。市場予想が2.2%程度でしたので、予想を若干上回っています。
輸送関連が前年比で4.3%の高い伸びとなっています。航空運賃の伸びは前月比で4.6%の伸びとなっていて、利上げを反映して住宅ローンコストが前年比で7.0%の上昇となっています。
カナダ中銀(BoC)の行動を考えるうえでより重要なコア指数は、前月と同じ2.0%程度の伸びで安定しています。市場予想とも一致していて、コアCPIからはサプライズは全くありませんでした。
10月 CPIコア指数(前年比伸び率)
CPI−trim 2.1% (9月2.1%)
CPI−median 2.0% (9月2.0%)
CPI−common 1.9% (9月1.9%)
9月の小売売上高はまちまち
CPIと同日に発表された9月の小売売上高は、前月から0.2%上昇、市場予想が0.0%だったので、予想を上回る結果でした。
しかし、自動車を除いたベースでは、前月から0.1%の増加にとどまり、市場予想の+0.3%を下回りました。
今回の経済指標のBoCへの影響はほぼなし
CPIの結果からして、今回の指標はおそらくBoCの判断には大きな影響を与えないでしょう。
11月30日に発表されるGDPの結果や、12月のFOMCの結果を受けての判断になろうかと思いますが、株式市場が低迷し、原油が70ドル台から50ドルに急落して弱気相場入りするなかで急いで利上げすることは考えづらく、早くて来年1月の利上げというこれまでの見方は変えなくてもよさそうです。
最近は米国の利上げペースの鈍化の可能性が意識されていますが、カナダにおいてもこれまでの労働市場の引き締まりを背景に利上げを維持できるのか注目されます。
ただし、明らかにグローバルな景気の減速を意識せざるを得ない環境になってきましたので、BoCは慎重なスタンスを示す可能性があります。
米国・カナダの最終的な利上げの到達点をどのあたりに置くかを見るうえで、慎重なスタンスへの転換は非常に重要になろうと思いますので、注意して声明文の変化を見る必要があります。