トロント住宅市場(6月)は小康状態
トロント住宅価格は安定的に推移も上昇圧力は乏しい
トロントの2018年6月の住宅価格指数(HPI)は、前月から0.04%下落、前年同月から4.76%の下落となり、平均価格は$772,100(5月は$772,400)となりました。前月から価格はほぼ横ばいで、2018年初のボトムからの回復基調は変わらずとなっています。
平均販売価格についても前月の$805,320からほぼ横ばいの$807,871となっています。平均販売価格の前年同月比は2%の増加となっています。
販売数、新規物件登録数は依然として低迷
2018年6月の販売数は8,082で、前年同月から2.4%増加しました。季節調整後では、前月比で17.6%上昇しているとのこと。住宅ローン規制強化のなかで販売数がボラタイルになっているとのこと。
販売活動は、来年にかけても回復基調を続けていく見込みになっています。2018年の新規登録物件数が15,922件で前年同月の19,561件から18.6%減少していることで買い手の競争につながる側面が懸念されています。
カナダ全体の販売件数は5年ぶりの低水準
カナダ全体の5月の住宅販売数は、4月から0.1%減少して、5年ぶりの低水準にとどまっています。
前年同月との比較では16.2%の減少となっていて、2018年初から販売数が急減したことがわかります。
トロントエリアの販売は徐々に回復していく見込みのようですが、価格上昇のなかで販売数が鈍いことから、急速に市況が回復するのは難しいのではないかと思います。
今後、カナダや米国、欧州で金融緩和の縮小が進められ、中国が貿易摩擦と債務過剰で苦しむなかでは、世界的に株式市場、不動産市場に調整圧力が強まっていくことが想定されます。
そのような環境下では住宅価格が以前のような騰勢を容易に回復することは難しいと思われますが、焦って住宅を売却しなければならないほどの逼迫した状況でもないことから、当面の住宅市場は安定的に推移するものと考えられます。