トロント住宅価格(8月)は3カ月連続で小幅鈍化、コンドは依然売り手市場
トロント住宅価格は3カ月連続で小幅鈍化
トロントの2018年8月の住宅価格(HPI)は、前月から0.28%下落しました。
2018年5月をピークに、小幅ですが、3カ月連続で前月比下落を続けていて、5月から8月では0.79%の下落となっています。
この3カ月の下落は、戸建てに要因があり、種別にみると、戸建ては2018年5月から8月で1.74%下落、タウンハウスは同0.20%上昇、アパートメントは同1.00%の上昇となっています。
戸建てが不調、アパートメントが好調という状況は、前年同月比でみても確認できます。戸建ての2017年8月からの変化は1.94%の下落、一方のアパートメントは9.89%の上昇となっています。
販売活動は改善継続、在庫減が問題になる可能性
TREB(トロント不動産協会)によると、販売件数と平均販売価格は改善しています。
販売数は前年同月比で8.5%の上昇、平均販売価格は4.7%の上昇となっています。
また、価格指数(HPI)では戸建ての低迷が目立っていますが、販売数では、前年同月から戸建ての販売が2ケタ増となっていて、その他が横ばいから小幅増のなかで際立っています。
前年同月比で見る場合の変化としては、New Listingsの増加率よりも販売数の増加率の方が大きく、在庫減がTREBのレポートで指摘されています。
レポートでは、住宅需要がここからさらに伸びてきた場合の影響が懸念されています。
アパートメントの価格上昇の背景
アパートメントが他の住宅種別に比べて価格上昇が顕著なのはなぜでしょうか。
TREBのCondo Market Report(4-6月期)によると、アパートメントの価格上昇は、在庫減と住宅市場全体の価格上昇による低価格住宅への需要によって売り手市場が形成されていることによるようです。
2018年4-6月期のアパートメントの販売数は前年同期比16.5%の減少、New Listingsもほぼ同率の15.9%減となっています。
一方で、販売価格は同期間に5.4%上昇($532,403→$561,338)しています。販売価格の大半はトロント都心の販売価格上昇($566,873→$603,480)によるものです。
レポートによると、販売数と新規物件数の減少率がほぼ同じであることは、昨年までの価格高騰を招いてきた状況が続いているという見解で、売り手市場が続いていると見られています。
アパートメントの需要の主要な牽引役は初めて住宅を買う人により支えられています。住宅種別比較で相対的に低価格で買いやすいことが、住宅ローン基準の厳格化と住宅ローンコストの上昇のなかでアパートメント需要と価格上昇につながっているとの認識が示されています。
人口が増加するなかで住宅価格全体が高騰していることから、このような事態に至っていると思われます。
そこかしこで建設中のコンドを見かけますが、それでも供給が追い付いていないということですね。
コンドを含めた住宅全体の供給の動向を見ていく必要があるようです。