カナダ雇用統計(2018年3月)
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カナダ雇用市場は堅調を維持
カナダの2018年3月の雇用統計は、雇用者数が前月から3.2万人の増加となりました。
市場予想は2.0万人だったので、市場予想を若干上回ったもののほぼ予想どおり、若干強かったという程度の数値です。
州別には、ケベック州の雇用増が大きく、オンタリオ州はほぼ変わらずでした。
米国の雇用統計は低調
3月の非農業部門雇用者数は前月比10.3万人増、市場予想の18.5万人を下回り、失業率も低下予想に反して変わらずと低調な数値でした。
市場は米中貿易摩擦を懸念して株安
この日は雇用統計よりも、トランプ大統領が中国からの輸入品1000億ドルを対象に追加関税を検討することを指示したとの報道で、中国からの反発もあり米中間の貿易摩擦への懸念が注目されました。
ダウは572ドルも下落、前日には貿易摩擦への懸念が和らいでいたこともあり、ショックが大きくなりました。
カナダドルは指標発表直後上昇も、株安に押される
低調な米国雇用統計、堅調なカナダ雇用統計の結果として、指標発表直後カナダドルは40〜50pips程度対ドルで上昇しました。
しかし、株安のなかで原油安となったことなどもあり、結局指標発表直前とほとんど変わらない1.27台後半での引けとなっています。
パウエル議長が講演‐漸進的な利上げ
FRBのパウエル議長は、漸進的な利上げを支持する発言をしています。今回は、賃金上昇ペースを懸念する発言もなく、あまり材料視されませんでした。
貿易に関する問題については、評価を避けました。しかし、貿易摩擦への懸念が長引けば長引くほど企業景況感への影響が大きくなり、将来の利上げペースは鈍らざるを得ないでしょう。
私は、今年の米国の利上げは3回できればいい方ではないかと思っています。
最近の株式市場のボラティリティー、貿易を巡る不透明感は憂慮すべき事態で、漸進的な利上げが2018〜19年にかけてこれまでと同様に進められていくというのは難しくなってきたと考えています。
カナダの利上げはどうなる
カナダの雇用市場は非常に堅調で、物価の上昇も確認されていて利上げには外部要因のみが支障となっている状況です。
FRBの利上げ期待が鈍化した場合、BoCは単独で利上げを続けるかというとそんなことはないでしょう。米国の利上げ織り込みの方が顕著であることから見ても、両国の利上げ期待の後退は米ドル安を招き、カナダのインフレには低下圧力となり、BoCは様子見をする時間を得られるでしょう。
また、米国の貿易政策が極めて不透明ななかでは動きづらいことも明らかです。
米国、カナダともに中央銀行は当面慎重なスタンスを取り続けるでしょう。
カナダのCPIは利上げを継続してもおかしくない状況ですが、早期の追加利上げはないのではないかと思っています。