ドル高か、ドル安の戻りか
米ドル全面高
ユーロドルなど主要通貨での米ドルの上昇が目立っています。
ユーロドルは4月中旬に1.23台だったところから1.19台まで米ドル高が進行、ドル円も特に材料はないなかでするすると109円台へとあがってきました。
ポンドに至っては、GDPなどの経済指標の鈍化で確実視されていた5月のBOE利上げが遠くなってしまったことから、4月中旬に1.43台だったところから1.36程度まで下落しています。
豪ドルも、5月1日のRBAは全く新材料はなく、第1四半期のCPIも2%程度で概ね予想どおりとなるなかで利上げ観測が完全に2019年以降に後退、4月中旬の0.78台から0.75台まで下落しました。
カナダドルについても、カナダ中銀が4月18日に政策金利を据え置いたタイミングは1.25台でしたが、その後に発表された3月のCPIが低調な伸びとなったこともあり、直近1.28台までCAD安USD高となっています。
たしかに、この期間は米国の10年国債利回りが3%台に乗せるなど、米ドル高となる要因もありましたが、米国債の入札額が増えるなかで利回りが上昇している側面もあり、一概に「米債利回り上昇=米ドル高要因」と言い切れる状況ではありません。
2018年初までは以下の記事で指摘したとおり米国の利上げサイクルに他の先進国が追い付いてきたことでそれまで数年の米ドル高の流れが反転したことが大きかったと考えています。
この動きは「米ドル高」なのか「米ドル安の戻り」なのか
足元の米ドル高は、ただの米ドル安の戻りか、米ドル高の力強い動きか、私は米国以外の先進国の金融引き締め観測が後退もしくは加速しないことを主因とする、これまでの米ドルショート(ユーロロング等)の調整による米ドル安からの戻りだと考えています。
4月9日に書いた以下の記事では、株式市場の混乱、貿易戦争の先行き不透明感がグローバルに波及することで米欧ともに金融引き締めが後退することでEUR/USDの頭打ちをイメージしていましたが、米国は依然として年内あと3回の利上げの可能性を残している状況で、欧州その他の国が脱落していったという結果になっています。
EURのポジション推移
EURのIMMのポジション推移を見てみると、やはりポジションには大きな動きがないことがわかります。
2018年に入ってからのNETロング枚数は、126,126~151,476枚のレンジで推移していて、直近4/17から4/24の変化でNETロングが151,476枚から130,594へと減少しました。ロング解消の動きがEUR/USDの下落要因となったことは間違いないと思いますが、依然として大きなロングが残存している状況で、大勢に変化はありません。
ロングだけの枚数に着目すると、2018/1/23に262,175枚のロングとなり、EUR/USDが1.24台にあったころでしたが、それが4/24には216,944枚まで減少していて、EUR高への期待が後退していることが見られます。
また、ポジション全体の縮小も見られますので、方向感に確信が薄れているのでしょう。
JPYのポジション推移
JPYのIMMポジションは、もっと特徴的な(悲惨な?)動きを示しています。
2017年は109-114円のレンジを中心に推移していましたが、そのなかでJPYショートのポジションが膨らんでいました。
2018年に入り、VIXショックや朝鮮半島懸念で混乱が強まるなか、この大規模なショートポジションが巻き戻され、JPY買いの原動力となりました。
しかし、残念ながらJPYショートの巻き戻しが終わったころに円高も104円程度で終わり、その後は足元の109円台までするすると戻ってしまいました。
典型的な、ロスカットが終わったら底になっています。
ドル高円安のなかでそれに追随してJPYショートが行われた形跡もありません。
EUR同様、こちらも全体のポジションの縮小が見られます。貿易戦争やシリア、朝鮮半島など、不透明なことが多すぎますからね。
今後も年初からと同様の展開を想定
不透明な要因が多いなかで市場全体のポジションが縮小、そのなかで利上げレースの先頭を走っていた米国が依然として最も堅調な国であることが確認されたことで、過去1年の米ドル安が巻き戻されたことで米ドルが短期的に全面高となったようです。
この環境は、最近の欧州の経済指標、豪州、カナダのCPIを見る限り当面は変わりそうにないですし、豪州やカナダなどのように、米国の利上げペースの動向に適応するかのように政策を検討している国があることからしても、当面米国が利上げの先頭ランナーであることは不変でしょう。
昨日のFOMCも、2018年の利上げがあと2回なのか3回なのか、ヒントはありませんでした。私は、米国の利上げが2019年にかけて徐々に難しくなっていくと考えていますが、既に欧州その他の先進国が出遅れ始めていること、依然としてEURのロングが大きめのポジションを維持していることを考慮すると、EUR/USDは上値が重くなりそうです。米国一辺倒で経済が強くなることはないでしょうから、トレンドをもってドル高になるというよりは、レンジが下方シフトしていく可能性がありつつも、レンジを作りつつ横ばいという展開だと考えています。
ロイター:FOMC:識者はこうみる
はじめまして。
fxを通じて、この2018年はカナダドル強気で攻めようと思っています。
ただ、日本にいると、アメリカの経済情報はメディアで数々報道されて得られるのですが、カナダの経済情報については皆無に等しいのが悩みの種です。
いろいろとカナダ経済の情報を教えて下さいね。
よろしくお願いいたします。