カナダの5月CPIはコアを含めて予想を下回る結果
カナダの5月のCPIはコアを含めて予想を下回る結果
6月22日に発表されたカナダの5月CPIは予想をした回る結果で、前年比の伸び率は4月と同じ+2.2%となりました。
エコノミストの予想が前年比+2.6%でしたので、予想を大きく下回る結果となっています。
ブルームバーグ:Canada’s Economy Just Wobbled But Rate Hikes Are Still In the Cards
総合指数の下振れは一時的な要因による影響も大きいので過度に懸念するものではないですが、4月には2%を超えていたコア指数が、市場の予想では同程度の伸び率を維持すると見込まれていたところ、2%を下回る伸び率にとどまりました。
5月 CPIコア指数(前年比伸び率)
CPI−trim 1.9% (予想2.1%)
CPI−median 1.9% (予想2.1%)
CPI−common 1.9% (予想1.9%)
4月 CPIコア指数(前年比伸び率)
CPI−trim 2.1% (予想2.1%)
CPI−median 2.1% (予想2.1%)
CPI−common 1.9% (予想1.9%)
項目別には、エネルギー指数は前年比+11.6%の伸びとなりました。4月は6.3%の伸びだったものが、ガソリンの前年比+22.9%の伸びで加速しています。
エネルギー以外の全商品は、前年比+1.6%となっています。4月は1.9%の伸びでしたので、この点からも鈍化しています。
エネルギーはBoCが以前から指摘していたとおり一時的な上昇要因として作用していますが、5月はtelephone servicesの7.1%減やtraveller accommodationの4.2%減などが大きく影響した様子です。
4月の小売りは天候要因で低調
CPIと同じく6月22日に発表された4月の小売売上高も低調な結果でした。
3カ月連続で増加した後、4月の小売売上高は前月比で1.2%の減少となりました。今回の減少は、悪天候により自動車及び部品の販売が低調だったとのことで、自動車を除くベースでは前月比0.1%の減少となっています。
自動車を除くベースでも市場予想を下回る結果となっていて、コンセンサスは0.5%の増加でしたので、今回の結果は非常に弱かったことがわかります。
e-コマースでの販売額は、小売売上高全体の2.7%を占めていて、前年から8.8%の増加となっています(小売売上高全体は前年から0.8%増加)。
ロイター:Canada April retail sales drop as bad weather hits auto sales
カナダドル(CAD)は一時急落も米ドル下落を受けて回復
CPIと小売売上高発表前、カナダドルは1.3270あたりでしたが、発表を受けて1.3370-80あたりへ急落しました。
しかし、その後に原油価格が大幅高となると米ドルが全面安となり、カナダドルは引けまでに1.3260あたりへと上昇、指標発表前の水準を回復しました。
原油の上昇は、ブルームバーグによると以下のとおりです。
ニューヨーク原油先物市場のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)は大幅反発。OPECは名目で日量100万バレルの増産に合意したが、実質的な供給増は日量70万バレル程度になりそうだと一部の加盟国代表が述べたことから、2016年以来の大幅高となった。
カナダドルの動きは次回7月11日のカナダ中銀(BoC)の利上げ期待を後退させるものでしたが、市場では依然として7月での利上げ観測が残っているようです。
背景には、5月のカナダ中銀で利上げ姿勢が示されたことがあります。
しかし、その後発表された指標は今回のCPI、小売と合わせて、雇用も低調な状態が確認されています。
最近の指標の低迷、特に雇用市場が横ばいで推移していることと、コアCPIが低調な推移を示したことは、利上げには大きな障害になると思われます。
また、貿易摩擦の不透明感は米中を中心に高まるばかりで、今後の影響を推し量ることは非常に難しい状況です。
市場は利上げ見通しですが、カナダ中銀の7月利上げは見送られる可能性が十分あると思います。