FOMC利上げ(2018年3月20-21日)
FOMC 25bp 利上げ
2018年3月のFOMCでFF金利の誘導目標を1.50-1.75%に引き上げることが決定されました。
今回の利上げは市場の予想どおりでした。
市場の注目が集まっていた2018年の利上げ回数は、従前の市場予想どおり今回を含めて3回にとどまり、2月のタカ派な議会証言以降高まっていた4回の利上げ見通しは示されませんでした。
経済成長の見通しは上方修正されたものの、インフレ見通しは据え置き、失業率は低下方向に修正、利上げ回数は2018年は3回でこれまでのペースは変えず、2019年、2020年に想定されていた利上げ見通しが引き上げられ、2020年末の予想中央値が3.1%から3.4%まで上昇しています。ただ、記者会見では2019年以降は不透明と言っているようで、自信のなさが見られます。2018年の利上げ見通しが3回、4回で依然として別れていることからも、当面は積極的に利上げを加速させるつもりはないようです。議会証言以降の経済指標(賃金やCPIなど)がいまひとつだったことから、積極的な利上げ姿勢が後退しているようです。
ドットチャートからは、Longer Termはほとんど変わっていないことが見て取れますので、2019年、2020年の見通し引き上げが市場に顕著に影響することはないでしょう。2018年ですら3回か4回で半々といった様相ですので、その先なんて織り込めません。
市場の反応
市場の反応は大きくありませんでした。若干ドル安、金利低下、小幅下落で、懸念されていたタカ派な結果とならなかったことで、全体として安心感が広がり、大きな影響はありませんでした。
今後の動向
先行きの利上げ見通しからは、現在の好調な経済成長が持続すれば、これまでと同様の年3回の利上げペースを維持することが伺えます。ただ、賃金やCPIが市場予想を上回って伸びてくれば、今年4回の利上げも十分あり得ます。依然として利上げペースの加速観測が高まりやすい環境です。
ただし、足元の市場環境が大きく変化していることがFOMCの判断に影響を及ぼす可能性があります。
FOMCの翌3月22日には、米中の貿易戦争の懸念でダウが700ドル以上急落しました。
市場の注目は利上げペースから貿易関税に移っているようです。
CNN:トランプ米大統領、対中関税措置を発表へ 6.3兆円規模
適用対象の中国製品は600億ドル(6兆3000億円)相当になるとみられている。これは昨年米国に輸入された中国製品の10%ほどに当たる。
こんな関税強化が続いてしまうと、利上げどころではなくなってしまいそうですね。
FRBは貿易戦争の影響を織り込んでいないようですので、米政府の動向によっては利上げ期待が後退する可能性も十分にあります。
諸々のリスク要因を考慮すると、米国の長期金利が3%を大きく超えていくのは難しいのではないかと思います。
1件の返信
[…] カナダの要因というよりは、3月20-21日のFOMCで懸念されていたほどタカ派とはならなかったことで全体としてドル安になっていることや、原油価格が高水準で推移していることなどがサポートしているのではないかと考えています。 […]