カナダ雇用統計(7月)、数値は強いが中身はいまいち
カナダの7月の雇用統計は数値は強いが中身はいまいち
8月10日に発表されたカナダの雇用統計は、5.4万人の雇用増加で、失業率は0.2%も低下(6.0%→5.8%)という強いヘッドラインとなりました。
市場の予想が、雇用が2万人弱の増加、失業率が0.1%の低下でしたので、数値的には予想を大きく上回る結果となっています。
しかし、内訳をみると、フルタイムの雇用者が2.8万人減となる一方で、パートタイムの雇用者が8.2万人となっています。雇用増加自体はポジティブな結果ですが、フルタイムの雇用者が大幅に減少していることもあり、数値どおりに捉えられる内容ではありません。
また、労働参加率も0.1%低下(65.5%→65.4%)していて、失業率の低下も手放しで喜べるものではありません。
地域別ではオンタリオ州が大幅増、セクターではサービス部門が増加
オンタリオ州の雇用が6.1万人増という顕著な増加となりました。なんと失業率が0.5%も低下して5.4%となっています。この失業率の水準は2000年以来とのこと。
その他の州では、ブリティッシュコロンビアが1.1万人と比較的大きな増加となっています。
セクター別では、教育関連サービスのパートタイム雇用者がオンタリオとブリティシュコロンビアで顕著に増加しています。教育関連サービスの雇用者数は1年前から8万人も増加しています。
また、オンタリオ州では、健康福祉関連が3.1万人増加となっています。
一方で、製造業は1.8万人の減少となりました。製造業の1年前からの雇用者数はほぼ変化なしとなっています。
また、建設業の雇用も1.2万人の減少となり、同セクターの1年前からの雇用者数は3.5万人の増加となっています。
資源関連の雇用者数は5千人の減少となり、同セクターの1年前からの雇用者数はほぼ変化なしとなっています。
公的部門の雇用者数が7月に5万人増となる一方で、民間部門の雇用者数はほぼ変化なしという結果になっています。
カナダドルは急騰後すぐに戻す
発表前に対ドルで1.30台後半で推移していたカナダドルは、発表直後は1.30台前半まで上昇したものの、ヘッドラインほど中身がよくないことが明らかになるとすぐに元の水準まで戻りました。
また、取引終盤にかけては、最近原油価格が調整していることや、トルコリラの急落で株式市場のセンチメントも悪化していることなどで1.31台まで下落しました。